Red Carpet(CD+DVD)
Red Carpet - 2015.12.2/2位/2.5万枚
【収録曲】
01.Red Carpet
02.Black Make Up
03.Red Carpet -Instrumental-
04.Black Make Up -Instrumental-

なんとなくは感じてたけど安室ちゃん、アルバムはともかくシングルはなんかファングッズになりつつあるような…という、ちょっと失礼な感想を抱いてしまった今年のニューシングル。いやそりゃもう「BEST FICTION」がバカ売れして以降はあくまでシングルはイントロダクションです、という感じで年にシングルが1枚、その成果をフィードバックしたアルバムが1枚というリリースペースで順調に活動を重ねていき、もうすっかり安定期に入ったという感じだけども、そこで今回の新譜。いやそりゃもう分かってます、あなたさまの活動の軸足がライブだということは。安室奈美恵は歌って、踊ってこそであるということは。そりゃもう十分承知してるんですが、ね。なんかこう、去年の「BRIGHTER DAY」もそうだけど、シングルは最近停滞してるというか、当たり障りのない無難な曲ばっかりになってしまったな、と。

「人生という名のレッドカーペットを歌い描いた、ミドルテンポのネオソウルチューン。誰もが自身の人生の主人公(VIP)であり、誰と出会い、どんな道を選ぶかはすべて自分次第」――というコピーの表題曲「Red Carpet」は悪くない全然悪くない。昔より声が低くなった分、パワーで押し切るだけだった20代の頃よりも遥かに安定して美しい歌声を響かせているし、サウンドも流行の半歩先を行くものであって上質、詩作のコンセプトとは裏腹にちょっとクリスマスソングっぽい趣もあり(――それにしても「I'm a VIP」といって薄ら寒くならない日本人歌手は安室ちゃんくらいなものだ)、全体的には安心のメーカー保証付きって感じの安室クオリティ、なんですが。なんですが、もうちょっと出来ることありますよね、と思ってしまうのは自分勝手な信者の我儘ってやつですか、ね。安定感はあるけども、スリルがない、とざっくり。しかも最近はタイアップの関係なのか、日本語詞の曲はもれなく頑張れワタシ系になっちゃうのも個人的にはあんまり。そういうのはディスコグラフィに一、二曲くらいでいいんでないの。
で、カップリングの「Black Make Up」は一転攻勢、気合一発なアッパーソング。とは言えこれも「_genic」の収録曲には及ばず、まあ、安室ちゃんならこれくらいしてくれるっしょ、という仕上がり。悪くないけど果たしてこれを安室奈美恵のディスコグラフィ史上、特別にお気に入りであると推す人間がどれほどいるのか、という。まあカップリングですし、と言ってしまえばそれまでだけども。なんか初めて「Fight Together」聴いた時の微妙な気持ちを思い出しましたよ――ってあれも確かワンピースタイアップだったな。おのれワンピース(違う)

とまあ、ここまで好き勝手文句言っておいてアレですが、つまりは安室ちゃんはもう完全なるアルバムアーティスト、ライブアーティストになったのだなと。シングルはまあ、言うなればファンサービスというか、タイアップ付いたら出すけど、くらいの感覚で、それが許されるくらい、彼女は大物になったのだなと。日本のポップス界においては極めて珍しい、大御所だからこそ、自身のブランドと実力に自信があってこそ、のアルバムアーティストであり、ライブアーティストであると。タイアップ付けてシングル切りまくる、というエイベックスのお家芸戦略は、もう彼女には必要ないんだなと。所詮は明菜さまと並んで自分にとっては唯一神というか孤高の歌姫であるので、何でもそういう感じにポジティブに捉えてしまいます。
いやでも実際そうなんじゃないかな。「FEEL」がシングル一曲のみ、「_genic」がシングル無し全て新曲、という今日のJ-POP界においては極めて異例なアルバム(――しかし昔はみーんなアイドルでもそういうアルバムは当たり前だったはずなんだけどね)を発表した時点で、多分今後はそうなっていくんじゃないかなあ、とは薄々思ってはおりました。「TSUKI」以来三作連続で表題曲のPVで安室ちゃんが踊ってない(!!)けど、踊ってる私が見たいのならライブに来なさい、私の前衛的な挑戦を楽しみたいのならアルバムを聴きなさい、要はそういうことなのでしょう。奈美恵様様でございます。

でもやっぱりシングルでも冒険してほしいなあ――ってのが本音。ふんっ、そんなにあたしの活動方針に文句があるなら、聴いてくれなくても結構よっ、と冷たくあしらわれそうですが。と言うわけで次のシングル、また楽しみにしております。

Red Carpet≪8/10点≫
Black Make Up≪8/10点≫

M1.【作詞:Matthew Tishler, Paula Winger, Stephanie Lewis, TIGER/作曲:Matthew Tishler, Paula Winger, Stephanie Lewis】
M2.【作詞:Andreas Oberg, Sigurd Rosnes, XIN_G, TIGER/作曲:Andreas Oberg, Sigurd Rosnes, XIN_G】