akinaalltimebest
オールタイム・ベスト ―オリジナル― - 2014.8.6/3位/12.0万枚
【収録曲】
-Disc 1-
01.スローモーション【作詞:来生えつこ/作曲:来生たかお/編曲:船山基紀】
02
.少女A【作詞:売野雅勇/作曲:芹澤廣明/編曲:荻田光雄】
03
.セカンド・ラブ【作詞:来生えつこ/作曲:来生たかお/編曲:荻田光雄】
04
.1/2の神話【作詞:売野雅勇/作曲:大沢誉志幸/編曲:荻田光雄】
05
.禁区【作詞:売野雅勇/作曲:細野晴臣/編曲:細野晴臣、荻田光雄】
06
.北ウイング【作詞:康珍化/作曲/編曲:林哲司】
07
.サザン・ウインド【作詞:来生えつこ/作曲:玉置浩二/編曲:瀬尾一三】
08
.十戒 (1984)【作詞:売野雅勇/作曲:高中正義/編曲:高中正義、荻田光雄】
09
.飾りじゃないのよ涙は【作詞/作曲:井上陽水/編曲:荻田光雄】
10
.ミ・アモーレ〔Meu amor é・・・〕【作詞:康珍化/作曲/編曲:松岡直也】
11
.DESIRE -情熱-【作詞:阿木燿子/作曲:鈴木キサブロー/編曲:椎名和夫】
12
.ジプシー・クイーン【作詞:松本一起/作曲:国安わたる/編曲:小林信吾】
13
.難破船【作詞/作曲:加藤登紀子/編曲:若草恵】
14.TATTOO【作詞:森由里子/作曲:関根安里/編曲:EUROX】
15.二人静 -「天河伝説殺人事件」より【作詞:松本隆/作曲:関口誠人/編曲:井上鑑】
-Disc 2-
01.Everlasting Love【作詞:大貫妙子/作曲/編曲:坂本龍一】
02.愛撫【作詞:松本隆/作曲/編曲:小室哲哉】
03.月華【作詞:松井五郎/作曲:梶原秀剛/編曲:松本晃彦】
04.原始、女は太陽だった【作詞:及川眠子/作曲:MASAKI/編曲:岩崎文紀】
05.MOONLIGHT SHADOW -月に吠えろ【作詞:高見沢俊彦/作曲/編曲:小室哲哉】
06.APPETITE【作詞:夏野芹子/作曲/編曲:U-ki】
07.帰省 ~Never Forget~【作詞:鈴木寛、atsuko/作曲:鈴木寛/編曲:千住明】
08.The Heat ~musica fiesta~【作詞:Adya/作曲/編曲:URU】
09.Days【作詞:中森明菜/作曲:織田哲郎/編曲:武部聡志】
10.落花流水【作詞:松本隆/作曲:林田健司/編曲:坂本昌之】
11.花よ踊れ【作詞:夏蓮/作曲:羽場仁志/編曲:上杉洋史】
12.DIVA【作詞:Ryohei Matsufuji/作曲/編曲:Philippe-Marc Anquetil, Chris Lee-Joe. Emma Rohan】
13
.Crazy Love【作詞:遠藤幸三、Miran:Miran/作曲/編曲:Fredrik Bostrom, Anna Nordell, Calle Kindbom】
14.I hope so【作詞:中森明菜/作曲:井上慎二郎、武部聡志/編曲:武部聡志】
15.SWEET RAIN【作詞:Ryohei Matsufuji/作曲/編曲:河野圭】

久方ぶりの公式作品と言うことで突然リリースが告知された中森明菜のオールタイム(―ダイジェスト?)ベスト。デビュー以来のシングルA面曲をまとめた"オリジナル"と歌姫シリーズからセレクトした"歌姫(カヴァー)"、2枚がリリースされたが歌姫シリーズに関しては25周年の際にリリースされた「歌姫ベスト」で"歌姫シリーズは選曲・構成などがよく練られたそれぞれのアルバムで聴くのが一番"ということが分かっていたので、こちらの新曲は配信で済ますことにして、自分は"オリジナル"のみを購入。つーわけで聴いた感想を…なんてしっかりとしたまとめではなく、ホントにただ思ったこと言いたいことだけをだらだらと箇条書きにしてみたの巻。何の参考にもならないとは思いますがお暇な方はお付き合い下さいませ。

〇ジャケット写真が絶妙にダサいのはファンとして笑えばいいのでしょうか泣けばいいのでしょうか。
〇ユニバーサル主催の先行試聴会にミッツ・マングローブがゲスト出演したと言うことで、そっち方面の方々への支持が何故だか絶大な明菜さまですが、確かにいかにもオカマさんが好きそうな色とりどりでギラついた派手なデザインではある(失礼)。
〇ブックレットはシンプル・イズ・ベストの極み、何の飾り立てもなく淡々と歌詞が掲載されております。明菜さまの姿が拝めるのは「SWEET RAIN」のページ脇に印刷された「1/2の神話」「トワイライト」「サザン・ウインド」「ミ・アモーレ」ジャケットのアウトテイクのみ。ま、ベストアルバムのブックレットって確かにシンプルな作りになりがちだし、別にさしたる期待はしていなかったけれども、個人的には明菜さまのビジュアルのピークは全盛期(80年代)ではなく96年~02年あたり(―「SHAKER」とかドラマ「冷たい月」の頃)だと思っておりますゆえ、なんかベスト出すたびに「今の姿はとてもじゃないが見せられない」と言わんばかりに昔の写真しか載せられていないのはちょっと不満かな。

〇Disc 1の存在価値の薄さよ。ワーナーを離脱してはや23年、数えるのも面倒な程に多くのインチキベストがリリースされてきた今日となっては、中途半端な選曲も相まって完全に要らない子。まー、昨今の風潮を見る限りでは世間の大半は「"DESIRE"以降の中森明菜には興味ありません」って感じなので、ある意味公式見解的と言えるのかも。
〇え゛ー、人によりけりなのは十分承知の上ぶっちゃけますと、リマスタリングが良くないです。担当した人は多分明菜さまの音楽まともに聴いたことないんだろうな、っていう、そんな仕上がり。とにかく低音増やしましたーっといった傾向のリマスターで、どの曲もとにかく低音が出過ぎで全体的に上から蓋されてるような聴き心地。「飾りじゃないのよ涙は」ってこんなどよーんとした雰囲気の曲でしたっけ。
〇明菜さまの曲は本人の趣向もあって、アイドル時代からベースやバスドラが強めに出ている曲が多いから、他の同時代の歌手の作品と同じように低音増量傾向のリマスターを施すと、元から十分足りている低音を更に増やした結果となり、途端にえらく聴き心地の悪い音になってしまうんだよってこれ、ライノボックスでもやらかした失敗でございますね。それだけならまだしも、何故か曲ごとに音量バラバラだし。3万はたいて買ったシングルボックスの音質が過去最高に素晴らしかったのでこれはちょっと期待してたんだけどなあ…。
〇で、クレジットを見たら本作のリマスタリング担当はユニバーサル側とのこと。だからか。近年ワーナーからリリースされている明菜さまの作品は一時期に比べて音良くなってるはずなのになあ、おかしいなあ、と思ったら。
〇―と、これら諸要素から、80年代の中森明菜にしか興味ありません、って人は過去にワーナーからたくさん非公式ベストが出ているし、収録曲もリマスターもこれよりよほど充実してるものがあるので、そちらをお勧めします。20年落ちの「SINGLES27」に未だに価値があるってぶっちゃけどうなんでしょう。聖子ちゃんだって"Bible"シリーズ総集編の選曲良し音良しな「Diamond Bible」を出したと言うのに。

〇そんな個人的に色々とがっかりなDisc 1の話はこの辺で切り上げて、本題。ぶっちゃけ今回のベストアルバムの存在価値はDisc 2が全てと言ってもよい、そんなわけで。中森明菜初心者は、Disc 2を集中して聴くべし。これを格言としたい(何の)。
〇1曲目がいきなりレコ社移籍に伴う混乱状態の本人を騙してレコーディングさせたという悪しき噂もある「Everlasting Love」から始まるが、めげてはいけない。ドンシャリ傾向のリマスタリングがイマイチなのもDisc 1と変わらずだが、諦めてもいけない。思った以上に90年代以降の明菜さまが世間に認識されていないことに日々驚いている学生がここに居ます。なんか昨今のマスメディアや週刊誌の煽り方を見ていると、89年の自殺未遂事件以来、中森明菜は心が病んでしまい、近年はまともに活動をしていなかった、みたいな風潮じゃないっすか。そんな馬鹿な話があってたまるかってもんですよ。ヒットが全くなかったとかメディアに全く露出していなかったってならともかく、歌姫シリーズや主演ドラマのヒットが今や無かったことにされてる感じがまた…(泣いてない)。
〇ファンも認める黒歴史、ガウス所属時代唯一の収穫「オフェリア」がまさかの未収録。なんで。それ以外は割と良心的な選曲(―と言うかこうする以外やりようがないという気もする)。手っ取り早く90年代以降の中森明菜の歴史を追いかけることが出来る。

〇90年代以降の明菜さまに関しては、その時々で楽曲のクオリティや本人のボーカルコンディションなどにムラがあるのが特徴と言える。「DESIRE」のビジュアルコンセプトや「I MISSED "THE SHOCK"」のA面昇格など、80年代の頃は吉と出ていた彼女のセルフプロデュース業が、なかなか成果として表れなくなる。もちろんこれには事務所やレコード会社との裁判沙汰に身内の不幸など、彼女を取り巻く環境があまりよろしくなかったというのもあるのだが、何よりそれまでの音楽性やボーカルスタイルを全て捨て去り新しい中森明菜を模索し始めた、というのも大きい。それが世界のサカモトとのコラボとなった(―結果にはならなかったが)「Everlasting Love」であったり、時代の寵児であった小室哲哉からの楽曲提供となった「愛撫」「MOONLIGHT SHADOW」であったり、自身のボーカル特性を消し去ることを意識した「The Heat」であったり、であるのだが80年代の頃のようにそうした意欲作がきちんと聴衆に届けられていたか、というと残念ながらそうもいかなくなる。元々80年代の頃からリスナーが彼女に求めているものと、彼女自身がやりたいことというのがイマイチ噛み合っていない感じではあったのだが、それが表面化したのがこの時期、とでも言おうか。
〇とは言えこの時期も彼女のボーカリストとしての才能は如何なく発揮、寧ろ80年代の頃より進化・飛躍している。その証左として「SHAKER」('97)なる名盤を発表しているので、この時期の楽曲に関してはまた追々掘り下げたいと思いまする。
〇で、00年代以降は活動も安定期に入り、90年代の不調が嘘のように立て続けに傑作が生まれることになるのだが、カバー作品の"歌姫シリーズ"のヒットとは裏腹にオリジナル作品は全くセールスには響かず。R&Bとエレクトロを融合させた最新作の「DIVA」にしても賛否両論で当然セールスは惨敗、推測するにこの時点で彼女の気が折れてしまったのかな、という感じがする。"安室奈美恵みたいで中森明菜が歌う必然がない"という声も上がったのだが、彼女はそもそもR&Bもトランスもクラブミュージックも、それらがまだ日本でメジャーになる前、それこそ80年代の頃からいち早く取り組んでいたはずなのだが、それすらももう覚えている人がいない。そんな状況下でこれ以上私は何をすりゃいいんじゃ、と。体の良いカラオケ屋になれとでも言うのか、と。明菜さまは憤慨―したのかどうかは知らないが、ここ数年何の音沙汰も無かった状況を見ていると、体調不良と言うのは事実だと思うがそれ以外にも本人に何か思うところがありそうだな、と。

〇―と、まあファンがこうしてぐだぐだ言ったところでさしたる興味のない人にとっては右から左へな話だと思うので、取りあえず少しでも関心のある方は試聴するなりレンタルするなりして、Disc 2の世界にきちんと触れてほしいなと思いまする。今日、単なる"80年代アイドル"で括られているということは(―だってそうじゃん、と言われればそれまでなのだが)ファンはもちろん、多分明菜さま自身が一番不服だと思うし。同時代を駆け抜けた盟友たち(松田聖子や小泉今日子など)に比べると、彼女がポップス歌手としての気概を未だ失っていないことが分かると思われる。
〇トピックその一、着うた配信限定でのリリースだった「Crazy Love」が初音源化。赤飯を炊こう。しかしなあ、本人このご時世に携帯電話も持っていないようなアナログ人間なのに、なぜ配信限定、よりによって着うただったのでしょうね。楽曲自体は「DIVA」に引き続きクールなエレクトロ・ポップ。ボーカル・エフェクトを強めに設定しているあたりが「不思議」「Wonder」の世界からの延長とでも言おうか。一見何の繋がりもないように思えて、実は80年代の頃から彼女の音楽性の根底にあるものは変わらないのである。
〇トピックその二、新曲「SWEET RAIN」収録。バラードと言うよりもスローテンポでアーバンなシティ・ポップスといったところ。歌詞が非常に意味深なのが気になるのだが、名曲とまではいかなくとも4年のブランクを感じさせず安心して聴くことの出来る一曲。アルバムの真ん中に配置されてそうなイメージ。やたらめったら復活を煽られていたけれども、曲を聴く限りではまだ本人戻ってくる気はないのかな、という感じ。ま、「Everlasting Love」にしろ「It's brand new day」にしろ、基本的にスロースターターな明菜さまなので、まだ分からんけれども。

〇―でもよくよく考えてみたら、ワーナー時代とそれ以降の楽曲が一枚のアルバムでひとまとめ、って凄いことっすね。だから尚更Disc 1の内容がですね…。
〇そんなわけで"結局あんた的にこのベスト、どうなんだよ"って声が聞こえてきそうですが、個人的にはオールタイム・ベストではなく歌手・中森明菜のダイジェスト盤、といった方がしっくりくる感じで、結論から言えば入門盤にはふさわしい内容に仕上がっているんじゃないかと。もう一枚ディスク増やせばもうちっと内容充実出来たような気もするけど、いきなり中森明菜の歌を3枚組で聴かされるって慣れていないライトリスナーにとっては紐なしバンジーするようなものだろうし、これ聴いて少しでも何か感じるものがあった人なら他の作品も自発的に聴くだろうし、丁度良い案配なんだろうな。ファンには色々不満が残るだろうが、ベストアルバムってのは元々そんなもんだ。新曲も収録されてるしね。
〇お蔵になっていた2000年ライブもようやく映像化、これはファンアイテムと言うべきなのかな、感想は省きます、ってかまだ見てないし。ガウスと喧嘩別れしてインディーズで踏ん張っていた頃の明菜さまです。そんな時期もありました。

≪8/10点≫